香り箱とは

香り箱って、始めは何のことかわかりませんでした。
あのかに風味かまぼこのことなんです。
私は、普通にカニカマ。
石川県七尾市の株式会社スギヨという会社が作っています。
スギヨは江戸時代より家業として鮮魚問屋、定置網業を生業としていました。明治元年に現在の基本となる練物を地元の能登半島七尾市に創業し、そのルーツは300年以上前にさかのぼるのです。

香り箱 かに風味蒲鉾

昭和47年にスギヨが世界で初めて開発して、昭和48年の暮れから発売を始めた「かに風味蒲鉾」、いわゆるカニカマは翌年以降、爆発的な売れ始めました。この技術をさらに磨いて開発した「香り箱」は、「本物のカニを超えた」とも言われ、平成18年の第45回農林水産祭で最高賞の天皇杯(水産部門)に輝いたのです。
カニの脚肉は葉脈状をしていて、香り高く淡い旨味が最大の特徴ですよね。そのカニの脚肉を目標に、高級すり身を使用して、極細繊維で、形状、食感、味、色合い、ジューシー感などズワイ蟹の抜き身のおいしさを再現したのです。
食品業界においてのカニカマというと、インスタントラーメン、レトルトカレーと並んで、100年に一度のヒット商品とまで言わしめています。

香り箱はスギヨ

それでは、その誕生秘話を。
明治40年に「ちくわ」の製造を始めたスギヨは、戦後、「ビタミンちくわ」がヒットし、その技術力が高く評価されていました。昭和45年に珍味業界から中華クラゲの代替となるような商品開発を依頼され、カニカマの開発はその技術力の蓄積から昭和47年に行ったのです。このように世紀の発明食品は、当初の目的から派生したところから生まれたのでした。
当時、中国からのクラゲの輸入がストップしたため、珍味であるクラゲの代替品の開発を急いでいました。しかしその開発はなかなかうまくいかず、暗礁に乗り上げてしまったのです。
「それならば、この技術を、得意の練り製品に活かしてみよう」と失敗をバネに奮起した開発陣が、試行錯誤の末に生み出したのがカニカマだったのです。やがて、カニカマの「ロイヤルカリブ」は、当社の主力商品となりました。
食品工学、培養工学、化学、微生物学、栄養生理学などを専門とする技術者、板前とシェフ出身の技能者が、平成17年、総がかりで開発したのが、「本物のカニを超えた」とも言われる「香り箱」なのです。分析技術で最高級のカニの成分を特定し、その味、香りを出すための原料を選び、プリプリした食感を物理的強度を計算して再現することに成功したのです。
こうなると、総力戦だったのですね。それが結果に結びついた。


香り箱は練り製品だが鮮魚売り場で

発売当初、営業マンが、あえて「香り箱」を練り製品とは言わずにバイヤーに見せたところ「これは本物のカニの身をきれいに成形し直したものですよね」と。
本物のカニと勘違いされた「香り箱」は、全国のスーパーで、練り製品ならぬ鮮魚の売り場で販売されています。
練り製品なのに練り製品ではない。
本当においしいですものね。あの食感は他にはないですものね。